2019/03/02更新
身の回りには「菌」が溢れています。
その中でも主に「菌」の影響力を減らす目的で除菌・抗菌・消臭消毒という言葉が使われています。
では具体的に、それぞれどんな意味があるかご存知でしょうか?
実は細かく見ていくと、大きな違いやイメージとの差がかなりあります。殺菌したから安全?消毒すればなんでも完璧?
字のイメージだけで、本当は効果がどれくらいあるのか。この違いを知るだけで、使われている言葉の目的がわかるようになります。
菌から身を守る
身近にある、菌から身を守る言葉の簡単な効果を書き出してみると。
- 抗菌(増やさない)
- 除菌(取り除く)
- 殺菌(一定数は死滅)
- 消毒(病原菌を減らす)
- 滅菌(ほぼ死滅)
などが挙げられます。既にこの効果だけでも、かなり違う意味合いを持つことがわかりますよね。
下記では更にそれぞれ調べてみました。
増殖を防ぐ抗菌について
菌に対抗するという意味で、菌の増殖を防ぎます。
こちらは調べてみると近年新しく使われだした言葉だそうで、日本工業規格(JIS)がモノを対象に生み出したもの。
JIS Z2801によると「製品の表面における細菌の増殖を抑制する」となっています。
JIS Z 2801:2012 抗菌加工製品—抗菌性試験方法・抗菌効果
銀イオンを利用して細菌が増えない状態!と考えておけば良さそうですが、どうも一貫した定義はまだ浸透していないようです。
つまり重要なのは、抗菌仕様だからといってどのメーカーのものも同じ水準の効果か…?と言うところ。
更に抗菌の試験は黄色ブドウ球菌と大腸菌がメインになっているので、食中毒に関わるこの菌以外には効果が不明です。
なので、よく水回りで見かける抗菌仕様はぬめりやカビが生えないわけでは無さそう。
けどメーカーによって差がある…防カビと書かれてるものもある、という状況かと。細かい仕様や効果に関しては、各製品の実験を通さないとわからない部分です。
文字通り菌を除く除菌とは
こちらも文字通り、菌を除くこと。つまり菌を減らすこと全般の意になります。
洗剤や漂白剤など「雑貨品」の表示に使える言葉で、しっかりと統一基準ありです。
ちゃんと決められた具体的な言葉としては「増殖可能な菌を対象物から有効数減少させる」です。
日本石鹸洗剤工業会の洗剤・石けん公正取引協議会、資料一覧にその表示基準の概要が載っています。
かんたんに書き出すと、抗菌と違っていろいろな手段で菌を増やさないようにするというイメージです。
※抗菌との違いは?
抗菌はモノの表面を対象に抗菌加工を行い、菌が増えないよう工夫しています。
ちなみに台所洗剤に書かれてる除菌は殺菌や消毒効果が見込めるものもありますが、薬事法の関係で除菌という言葉しか使えない事情があります。
完全ではないけど菌を一定数減らす殺菌
字のごとく菌を殺すことで、正確には一定数やっつけられるといった具合です。
薬事法の対象になる消毒薬、医薬品や医薬部外品で使う事が出来るので、前述した「雑貨品」の洗剤等には使えない表現です。
ただし菌を死滅させる効果がある、と聞くとものすごく効果が強そうな印象ですが程度の度合いは定義がなされていません。
滅菌と違って具体的な程度は定義されておらず、効果は保証されない。
電磁波、温度、圧力、薬理作用などを用いて細菌などの組織を破壊するか、生存が不可能な環境を生成することで行われる。
なので、効果が少なくても菌を殺す効果があれば殺菌と謳えちゃうわけですね。これは気をつけないとうっかり勘違いしてしまいそうです。
菌ではなく毒を消す消毒とは
前述の殺菌とは少し意味合いが違っていて、字のまま毒を消す意味になります。
対象物の害となる微生物を、影響が無いくらいまで減らすことを指します。
その際に殺菌が行われることもありますが、殺菌しなくても病原性を除去できれば消毒となります。
ので、ちょっと殺菌とは微妙に意味合いが違います。
一番強い滅菌
まさに菌を滅することになります。
さすがに全ての菌を死滅させるのは容易ではないため、ある一定の基準に到達すると滅菌を表現することが出来ます。
実際には菌数が完全にゼロとすることは現実的ではないため、無菌性保証レベル(sterility assurance level、SAL)を満たすことをもって滅菌したとする。SAL≦10-6(滅菌操作後、被滅菌物に微生物の生存する確率が100万分の1以下であること)が国際的に採用されている。
最上級と言ってもいいほどで、手指の消毒は出来ても滅菌しようとすると細胞ごと殺してしまうほどの処理となります。ひええ
まとめ:意味や違いを知ればどんな効果があるのかわかる
例えば私は殺菌と聞いて、かなり強い言葉のイメージを持っていました。しかし実際は具体的な程度は定義されておりません。
これは各社が自主基準に従っていたり、競争から表現できるギリギリの強そうな言葉を使ったり、規約など複雑な背景があってより分かりづらくなっているからでしょう。
以上の内容を元に、現在使っている○菌の効果を知りたいなら各製品を調べてみないと具体的にはわからない…という内容になりました。
日常で使うとすればウイルス対策に超有効で安全な消毒水、次亜塩素酸水が万能かもしれません。
身の回りの菌ともうまく共存していく道が、一番正しいのかもしれませんね。
ではでは(`・ω・´)ゞ