最近はめっきり本を読まなくなったうえの(@uenoyou111)です。
今回読んだのはこちら! かげうら、じゃなくてえいりです。
以前、りとさん(@RitoJHS)が同じ本を読まれておりました。
こちらにコメントした際の出来事です。
おお…、お仕事でも「あえて行間を読ませる」仕組みを取り入れてらっしゃるのですか!すごくクリエイティブですねっ。小説、もし読まれることがありましたらまたうえのさん視点のレビューが読みたいです!
— りと (@RitoJHS) 2018年6月8日
おお…!そう仰られるなら是非とも見てきます…!!
— うえのみかん@寝てるから静かにね (@uenoyou111) 2018年6月8日
自身が気になったのもあり、早速購入。すぐに読みたかったのでkindle版を選択。
それからもう10日以上過ぎてしまいました…!
隙間時間で見ることが多いのですが、どうも優先事項が積み重なって後回しに。という言い訳は捨て置いて早速書き出していきます。
影裏の作者は何者?
可能な限りネタバレは避けつつも、どんな作品かなーってのが分かればいいなと思います。
作者は沼田真佑さん。北海道小樽市出身で、現在は岩手県盛岡市在住。塾講師をされています。
なんと今回の作品がデビュー作で、第122回文學界新人賞受賞。そして第157回芥川龍之介賞受賞。
インタビュー記事もありました。
自信のなさは別にして、すごく繊細な印象を受けました。しかし会見では受賞の心境を
「ジーパンを1本しか持っていないのに、ベストジーニスト賞をいただいてしまったような気分」
と表現されています。ユーモアも持ち合わせているんだなぁと思いますが、それ故に比喩表現の高さが感じられます。
先に本を読んだので、そのままの印象を元にこの記事を見ると見方が変わってきます。というか、影裏は見る度に捉え方が少し大きめに変化していく感覚を覚えました。
どんな作品だった?
漢字が難しい。
これが初見数ページでの印象です。読みに関しては少々の自信はありましたが、不安を覚えるくらい日常じゃ見かけない。
ただ、描写の巧みさも比例している。登場するモノに対する愛着みたいなのも随所に強く感じられて、主人公の性格を象る一つの手段になっている。
でも逆を言えばそれくらい、内面的な情報はあっさり抜き取られている。
ほんと手記みたいな、自分が知ってる情報はもう分かっているのだから敢えて書き出さなくてもいいでしょ?的なニュアンス。
あと、場面転換が分かりづらかった。あれっ?どこから変わったんだ?と思わず見返してしまう事態が何回かありました。
後出しの情報により点と点を繋げていく事になるのですが、変に最初から説明的であるより独特な存在感が浮き彫りになっていきます。
主人公の友人、日浅の父上が妙にキャラ立ちしてる感はあるので、最後に何かあるんじゃないかっていう無駄な心配をしましたが杞憂でした。
主人公の日常が淡々と綴られているよう
私は起承転結がはっきりしてるとか、伏線があってそれを推理したりとか、そういうのを好んで見る事が多い気がします。
複雑に張り巡らされた中の、違和感のある糸を一つ一つ手繰り寄せていく過程に面白みを見出したり。
でもこの影裏は新鮮。いい意味でも悪い意味でも平坦。
糸、という表現をしたけど、まだ糸は一本の存在感があります。こちらに当てはめると、スッキリしたのに全体に霞がかったような、でも極限まで薄い。
そんな違和感とまでは言えない余韻が残ります。不思議な感覚を覚える作品です。
読み終えてみて
サラッと読めて、感情が入り組まない分ある意味じゃすごくシンプル。
謎解き要素も無いし、視点の理解が進めば見る度に違う一端が見えてきます。
なのに、ほとんど感情の移入が出来ない。これは淡々と進められる物語だけが要因じゃないと思う。
物語の中盤、かつての恋人が出現した辺りから急に読みやすくなったり、友人が絡んだ瞬間の後半には元に戻ったり。
もう少し背景を読み込んで行間を補完できれば、この違和感というか不思議な感覚の正体を表すことが出来るのかも知れない。
うーん、けれど人によってはこの感覚を物足りないと見るかも。もっと感動的で、物語が精巧に組み立てられていて、とか。
まとめ
ちなみに普段、全く小説を読みません。影裏を読む前に読んだものと言えば、村上春樹氏の1Q84が最後じゃないかなあ。もう何年も前…
その程度の経験で、読み進めるには知識が足りないのかも。またいつか振り返った時に読んでみたいと思います( ˘ω˘)
りとさんも仰られていますが「ちょっと難解な物語に手を出してみたいな」という時に丁度よい長さであることは間違いないです。
ではでは(`・ω・´)ゞ